1.インドネシア、6年ぶりの貿易赤字 輸入急増とインフレ加速
2026年7月1日
インドネシアは2026年5月の貿易収支で
16億1,000万ドルの赤字を記録し、2020年5月以来続いていた月次の貿易黒字が途切れました。輸出は前年同月比5.73%減の232億ドルとなった一方、輸入は22.16%増の248億1,000万ドルまで拡大。特に石油製品の輸入額が約2倍となったことが赤字拡大につながっています。
同時に発表された6月の消費者物価上昇率は**前年同月比3.34%**となり、インドネシア中央銀行(BI)が設定する1.5〜3.5%の目標レンジ上限に接近しました。ルピア安とエネルギー価格上昇が、貿易・物価の双方に影響を与えています。
ソース: Reuters(2026年7月1日)
2.国際金融センター設立法案、国会で審議開始 専用裁判所も計画
2026年7月2日
インドネシア国会は、海外資本の誘致と国内金融市場の拡大を目的とする**「国際金融センター(IFC)」設立法案**の審議を開始しました。
計画では、金融センター内で国際商取引法の原則を一部採用できるほか、金融センターで発生したビジネス上の紛争を扱う
専用のIFC裁判所を設置する構想です。政府は金融・資産運用関連の海外企業を呼び込み、インドネシアを東南アジアの金融拠点の一つへ成長させる狙いを持っています。
ソース: Reuters(2026年7月2日)
3.インドネシアとシンガポール、越境電力プロジェクトで合意
2026年7月6日
インドネシアの政府系投資機関
Danantaraと、シンガポールのKeppel Electric、Sembcorp Industriesなどが、両国を結ぶ越境電力プロジェクトに関する覚書を締結しました。
両国は2025年から低炭素電力の輸出計画を進めており、
2035年までにインドネシアからシンガポールへ3.4GWの低炭素電力を供給する構想があります。現在は電力価格について交渉が進められており、再生可能エネルギー投資や送電インフラ開発の拡大につながる可能性があります。
ソース: Reuters(2026年7月6日)
4.インドネシアとインド、防衛・重要鉱物・農業で大型協力
2026年7月7日
プラボウォ大統領とインドのモディ首相は、ジャカルタで会談し、
防衛、重要鉱物、鉄鋼、農業など幅広い分野で協力協定を締結しました。
防衛分野では、インドとロシアが共同開発した
ブラモス巡航ミサイルなどの供給契約が盛り込まれ、Reutersによると関連取引は約6億3,000万ドル規模とされています。また、重要鉱物のサプライチェーン強化や、インド国営Steel Authority of IndiaとインドネシアのKrakatau Steelによるステンレス鋼素材の合弁事業も計画されています。
インドはインドネシア産パーム油や石炭の主要輸入国であり、両国は特恵貿易協定の交渉も加速させる方針です。
ソース: Reuters(2026年7月7日)
5.2026年財政赤字、GDP比2.85%へ拡大見通し 法定上限3%に接近
2026年7月7日
インドネシア政府は、2026年の財政赤字が**GDP比2.85%**まで拡大するとの見通しを示しました。従来予想の2.68%を上回り、法律で定められた財政赤字上限の3%に近づいています。
背景にはエネルギー価格上昇に伴う補助金負担があります。政府はエネルギー補助金として追加で
132兆ルピアを確保する見通しで、歳出総額も当初計画を上回る予定です。
一方、財政負担を抑えるため、プラボウォ政権の看板政策である
無料給食プログラムの予算削減も検討されています。
ソース: Reuters(2026年7月7日)
6.インドネシア「B50」本格導入 パーム油需要増加と燃料輸入削減へ
2026年7月9日
インドネシア政府は、軽油にパーム油由来のバイオディーゼルを50%混合する**「B50」政策**を開始しました。これまでのB40から混合率をさらに引き上げます。
エネルギー省によると、B50導入によって年間の粗パーム油使用量は従来の約1,520万トンから、
約1,630万〜1,700万トンまで増加する見通しです。
政府はB50により2026年の燃料輸入費を
約170兆ルピア削減できると試算しています。プラボウォ大統領はさらにB60への移行にも意欲を示しており、政府は60%混合燃料の研究を開始する方針です。
ソース: Reuters(2026年7月9日)
7.Danantara「株式市場の救済機関ではない」と強調 市場改革を重視
2026年7月9日
インドネシアの政府系投資機関Danantaraは、低迷するインドネシア株式市場について、**「Danantaraは市場を救済するための機関ではない」**との立場を示しました。
インドネシア市場では、MSCIが2026年1月に透明性への懸念を表明し、フロンティア市場への格下げ可能性を警告したことを受け、外国人投資家の資金流出が進行。記事掲載時点でジャカルタ総合指数(IHSG)は年初から30%以上下落していました。
Danantaraは短期的な資金注入よりも、市場の流動性、透明性、ガバナンス向上を重視するとしています。インドネシア証券取引所も最低浮動株比率を15%へ引き上げるなど、市場改革を進めています。
ソース: Reuters(2026年7月9日)
8.インドネシア産アルミニウム、米国・韓国への輸出開始
2026年7月9日
インドネシアの鉱業・エネルギー大手
PT Alamtri Resources Indonesia傘下のアルミニウム精錬所が、初めて本格的な海外輸出を開始しました。
カリマンタン島にあるPT Kalimantan Aluminium Industryは6月、米国向けに
3万1,494トン、韓国向けに
3,569トンの一次アルミニウムを出荷しました。
中東情勢によって湾岸諸国から米国へのアルミニウム供給が不安定化するなか、インドネシアが新たな供給国として存在感を高めています。ニッケルに続き、アルミニウムでも国内精錬・高付加価値化を進めるインドネシアの資源下流化政策が輸出につながり始めています。
ソース: Reuters(2026年7月9日)
9.S&P、インドネシアの「BBB」格付けを維持 見通しも「安定的」
2026年7月13日
格付け大手S&P Global Ratingsは、インドネシアの長期ソブリン格付けを**「BBB」**、短期格付けを「A-2」で据え置き、見通しも「安定的」を維持しました。
財政悪化への懸念はあるものの、S&Pは高い商品価格による輸出・政府収入の改善や、政府による歳出削減によって財政圧力は一時的なものになる可能性があると評価しています。
一方、Moody’sとFitchはすでにインドネシアの格付け見通しを「ネガティブ」に変更しており、今後も
財政赤字3%の法定上限を守れるかが信用力を左右する重要ポイントとなります。
ソース: Reuters(2026年7月13日)
10.無料給食事業を縮小へ 新規キッチン停止で事業者が抗議
2026年7月14日
プラボウォ政権の看板政策である
無料栄養給食プログラムを巡り、政府による事業縮小方針に対して給食キッチン運営事業者から反発が広がっています。
全国では約2万8,000か所のキッチンが稼働・登録されていますが、政府機関は財政効率化の一環として、
新たに予定されていた約1万3,000か所の追加を一時停止する方針を示しました。
すでに設備投資を行い、営業許可を取得していた事業者も含まれており、複数の業界団体は、事業開始を認めない場合には投資資金の返還を要求し、応じられなければ法的措置も検討するとしています。財政赤字拡大を受け、プラボウォ政権の大型社会政策にも見直しの動きが出始めています。
ソース: Reuters(2026年7月14日)