
【インドネシアニュース】2026年(9月16日〜30日)
2026年9月後半は、2027年予算の国会可決と年末の家計支援策が注目を集めました。一方、株式市場の下落とルピア安が進み、企業の資金調達や輸入コストへの影響も気になる局面です。金融・財政政策から、日系企業との産業協力、貿易・販売に関わる制度まで、インドネシア経済の主な動きをお届けします。
1.2027年予算が国会で可決、歳出は4,106兆ルピア
9月29日可決/30日発表
国会は2027年度国家予算を可決しました。歳出は4,106.26兆ルピア、歳入は3,435.10兆ルピアで、財政赤字はGDP比2.4%を見込みます。中央政府の歳出は3,371.26兆ルピア、地方向け移転は735兆ルピア。プラボウォ大統領は、社会保障や基礎インフラへの支出を確保しながら、予算の効率化を進めるよう指示しました。
注目点:
公共事業や政府向け取引では、予算総額に加え、各省庁・地方への配分と執行時期が受注機会を左右します。
2.中央銀行、政策金利5.75%を維持 ルピア安定を重視
9月23日発表(金融政策会合:22〜23日)
インドネシア銀行(BI)は政策金利を5.75%に据え置きました。預金ファシリティ金利は4.75%、貸出ファシリティ金利は6.50%です。世界的な金融市場の不確実性を踏まえ、ルピアの安定と、2026・2027年のインフレ目標である2.5%±1%の達成を重視。為替ヘッジ取引の優遇を拡充する方針も示しました。
注目点:
金利が据え置かれても、為替変動によって輸入代金や外貨建て債務の負担は変わります。事業計画では金利と為替を併せて確認する必要があります。
出典:インドネシア銀行
3.株価が一時2.2%下落、ルピアは1ドル=18,000ルピアの節目を突破
9月29日報道(取引時間中の動き)
ジャカルタ総合指数は取引時間中に一時2.2%下落し、7月半ば以来の安値となりました。ルピアも一時1ドル=18,000ルピアを超える水準へ下落。世界的な債券利回り上昇に加え、28日に株価の最低価格が50ルピアから1ルピアへ引き下げられたことで、従来の下限付近にあった銘柄の価格調整が進みました。
注目点:
輸入企業にはルピア安による仕入れ負担が懸念されます。株式市場の制度変更による個別銘柄の動きと、景気全体の評価は分けて見ることが大切です。
4.10〜12月の家計支援を準備 コメ配布と賃金補助を計画
9月30日発表
政府は第4四半期の購買力を支えるため、約3,324万世帯に月10キログラム、10〜12月分のコメをまとめて配布する計画を示しました。必要予算は約17.5兆ルピア。賃金補助(BSU)も約1,330万人の労働者を対象に、月30万ルピアの3カ月分を一括支給する予定です。
注目点:
食品や日用品の需要を下支えする可能性があります。実際の消費への効果は、対象者への支給時期と配布状況によって変わります。
出典:経済担当調整省
5.EUとの経済連携協定、2027年初の適用を目指す
9月22日発表
政府はインドネシア・EU包括的経済連携協定(IEU-CEPA)の実施に向け、法的文書の整備と批准手続きを急ぐ方針を示しました。欧州議会での審議に必要な英語文書を準備し、インドネシア側でも批准を進めます。2026年後半の批准と2027年初の適用を目標としており、開始時期は批准手続きの進捗に左右されます。
注目点:
EU向け輸出を行う企業には市場拡大の機会となり得ます。関税上のメリットを検討する際は、批准の進捗と対象品目・原産地規則の確認が必要です。
出典:経済担当調整省
6.ハラール認証義務化の次段階へ、10月18日に向け準備を促す
9月30日発表(説明会:29日)
商業省は10月18日に予定されるハラール認証義務化の次段階に向け、零細・小規模事業者(UMK)などの準備を促しました。認証取得に加え、品質検査、輸出先の規制や基準への対応を重視。省内のハラール検査機関による検査・試験と、海外の通商代表による情報提供を連携させる方針です。
注目点:
認証の対象や適用時期は商品・事業者区分によって異なります。現地販売・輸出入を行う企業は、自社商品の扱いと必要な手続きを個別に確認する必要があります。
出典:商業省
7.8月末の財政赤字はGDP比0.93%、前年同期から縮小
9月18日発表(対象:2026年1〜8月)
財務相は8月末までの財政収支を公表しました。歳入は2,055.6兆ルピアで年間目標の65.2%、歳出は2,295.7兆ルピア。赤字は240.1兆ルピア、GDP比0.93%でした。前年同期の321.6兆ルピア、GDP比1.35%から縮小し、利払いを除く基礎的財政収支は154兆ルピアの黒字となりました。
注目点:
年末に向けた支援策や公共支出を見極めるうえで、財政の余力は重要です。ただし、8月末の進捗だけで通年の収支を判断することはできません。
出典:Katadata
8.名古屋で日系自動車企業と対話 許認可・資金調達・国産化認証が課題に
9月20日発表(会合:19日)
経済担当調整省の代表団は名古屋で、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア、デンソー、アイシン、アドヴィックスのインドネシア拠点関係者と意見交換しました。企業側は投資環境について、許認可、部品産業を支える中小事業者の資金調達、電動車への移行期における国産化率(TKDN)認証の課題を提示。政府は投資の障害への対応を進める考えを示しました。
注目点:
日系製造業にとって、工場への投資だけでなく、現地部品メーカーの育成と認証対応が競争力を左右する論点になっています。
出典:経済担当調整省
9.JICAとのレバナ地域開発協力が完了、産業と物流の連携を強化
9月29日発表・最終会合
政府とJICAは、西ジャワ州レバナ地域とパティンバン国際港周辺の開発に関する2年間の技術協力を終え、成果と今後の行動計画に合意しました。産業と物流を一体化するマスタープランの更新に加え、グリーン産業拠点の整備計画や環境配慮型工業団地の指針を作成。地域内の国家戦略事業12件のうち8件が完了したことも報告されました。
注目点:
日系企業の生産・輸出拠点を検討する際は、港湾へのアクセスと工業団地の整備状況が重要です。今後は計画の具体的な実施と投資環境の改善が焦点となります。
出典:経済担当調整省
10.公的医療保険BPJSに20兆ルピアの資金投入を予定
9月29日報道(政府発表:28日)
政府は公的医療保険を運営するBPJS Kesehatanの2026年の資金不足に対応するため、20兆ルピアを投入する方針を示しました。年初来の収入は118兆ルピアに対し、医療給付の支払いは132兆ルピアと、支出が収入を上回っています。資金は2026年度予算の既存枠を使い、10月と11月に投入する予定です。
注目点:
医療サービスを支える資金繰りの改善が期待されます。一方、保険料収入と給付費の差は、公的医療保険の持続性に関わる課題として残ります。
11.8月の通貨供給量は前年比8.2%増、伸び率は小幅に低下
9月24日発表(対象:2026年8月)
インドネシア銀行が公表した8月の広義通貨供給量(M2)は10,448.1兆ルピアで、前年同月比8.2%増となりました。7月の8.3%増から伸び率はわずかに低下。現金や決済性預金を中心とするM1は9.0%増、準通貨は6.5%増でした。金融システム全体では通貨供給の拡大が続いています。
注目点:
通貨供給の拡大は資金環境を見る指標の一つです。ただし、企業が実際に資金を調達できるかは、融資条件や金融機関の審査にも左右されます。
出典:インドネシア銀行
12.観光客向け「Indonesia Travel Pack」を開始、決済と通信を案内
9月26日発表・開始
インドネシア銀行は観光客向けのデジタルサービス「Indonesia Travel Pack 2026」を発表しました。観光・飲食店情報、デジタル決済、SIM・eSIMの案内をQRコードから利用でき、初期の導入地域はジャカルタとバンテンです。8月時点で日本を含む6カ国と接続するQRISの国際決済と併せ、外国人旅行者の消費を促す狙いがあります。
注目点:
飲食・小売・観光事業者には、外国人客の決済や通信の不便を減らす機会となります。利用できる決済アプリや店舗側の対応状況を案内できることが大切です。
出典:インドネシア銀行

